【MV制作Blog】Miyauchi - Diamond 編
撮影技術
はじめに
映像監督のYuuukizmです。
今回から制作中に僕が考えていることや制作のエピソードをMVの制作Blogとしてお送りします。
映像にまつわる情報も積極的に発信していきたいと思い、最近IZM.proのHPを大幅に改良し、クリエイターに向けたコンテンツやアーティストさん・企業さんに向けたコンテンツが充実してきました。
“ゆうき(Yuuukizm)の記事が全然ないから書いてくれ”とHPエンジニアに日頃から口酸っぱく言われているのでようやく仕事が落ち着いたので書きます。
ビデオどうやって作れますか?どうしたらいい作品になりますか?などなどコメントももらうので自分の制作について紹介します。ほぼ独学で切り開いてきたので参考にしていただけるかは分かりませんが書いてみます。
今回は先日公開された Miyauchi - Diamond のMVを監督したので、記念すべき第1回としてこのMVのBlogを書きます。
この映像は自分らしいビデオにできた、大好きな1本です!
Miyauchiとの思い出
まず今回のアーティスト"Miyauchi"とのエピソードを少しだけ。
Miyauchiと知り合ったのは、2年前。
お世話になってる仲良し先輩のMido君から”ゆうき君に会わせたい人がいる、多分同い年。スタジオに来て”
と連絡をもらってMIDO君が運営しているスタジオMIDO LAB.でMiyauchiと初対面。クールだけど物腰の柔らかく、夢も大きい素晴らしい男でした。
そこからMiyauchiのビデオを大半うち(IZM.pro)で制作するようになりました。(もう半分は大先輩のリョウマ君)
去年のある日、突然”バズりかけてる曲があるから早くビデオを撮りたい”とMiyauchiチームから連絡があり、急遽撮影したMiyauchi - Swagが大バズり。現在(2025.2)600万回再生を突破。
改めてMiyauchiのポテンシャルを感じた瞬間でした。
Swagのヒットを機にアーティスト活動も大忙しになり、海外にも飛び回るように、、久々に今回MVを撮る、そしてプロデュースすることが多かったMiyauchiのビデオですが、監督として。今回は僕的にもすごく気合が入る制作でした。
企画エピソード
撮影の2ヶ月前くらいかな。Miyauchiに今回のイメージを聞きました。
ダイヤモンドになりたい。と言われたのを覚えています。
MVの台本を作るときは1ヶ月悩むこともあれば、スッと出てくる時もあります。
今回は驚くほど早く演出の数々が浮かび始めました。
僕の作りたいMVはストーリーラインをしっかりと作り込むこと。それがYuuukizmの色なのかなと自分で思っています。

楽曲を聞き、歌詞に目を通すと、
- -最初の頃の俺を例えるなら河川敷に落っこってる砂利-
- -俺はデカいダイヤの原石-
- -宝石だってただの石。磨かなかったら輝かない-
この3つのラインでMVの全体像が決まりました。
Miyauchiを砂利からダイヤモンドにしよう!!
そう決心し、どうしたらMiyauchiをダイヤモンドにできるのかをひたすら考えました。
そこで浮かんだのが、Miyauchiのフィギュアをケースに入れて輝かせることでした。
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そして道端に溢れる砂利のような価値の少ない状態から、特別な輝きを放つまでフィギュアで表現しようと思いました。出会った当時から今までのMiyauchiのキャリアと重なるような演出に出来そうな気がしました。
絵コンテやリファレンスをかき集めて、Miyauchiに投げたところとっても好印象でした。

あとは煮詰めるだけ。ひたすら考え込む日々が続きました。
数日後、Miyauchiのフィギュアが輝くには拾い上げる人、輝かせる人が必要だなという考えに至りました。
本来のMiyauchiのポテンシャルを理解し、拾い上げ、磨き上げる。Miyauchiのリスナーさんを表している様でした。
映像の展開として"2軸で進められそう"と思います、Miyauchiを拾い上げる人も、映像が進むにつれて進化していく演出を思いつき、冴えないお爺さん(役者:堀ノ内イイマン)をキャスティングしました。
この頃には既に、頭の中で映像が出来上がっていました。あとはお爺さん役が冴えるストーリーにするだけ!
また等身大のMiyauchiのパフォーマンスにも重きを置いていたので、磨かれる過程をお爺さんとそして現実の姿でも磨かせようとリップシーンにも磨かれるシーンを組み込みました。

そしてお爺さんは冴えない服装・冴えない環境で自分だけMiyauchiの価値を見出す、輝かせる。
てことは、結末は大衆にも分かる価値に変わっていること。そしておじいさんも冴えてる姿に変わっていること。これが本作のゴールでした。
-一十百千万俺出してみなんでも鑑定団-
このラインでMiyauchiのフィギュアが高額で取引されている結末を演出することを決めました。

そして最後は取引決裂。”買えない方が多分面白いっす(笑)”
結末はMiyauchiのアイデアでした。
ここまで決めきれたのが撮影の約1ヶ月前かな。
スタッフにアイデアをまとめて共有し、皆んなでスタッフのチーム編成と、ロケーションの確保、キャスティングに移行しました。
スケジュールの関係上、1日で全ての内容を撮り切りたかったので、試行錯誤を重ねました。
撮影日
いよいよ撮影日!この様子は最近始めたうち(IZM.pro | イズムプロ)のYouTubeチャンネルでも公開されています!
ぜひ見てみてくださいね。
1ロケ目スタート
撮影はMiyauchiのフィギュアが高額で取引されるラストシーンからの撮影になりました。
現場には朝早くにもかかわらず、Miyauchiとクルーメイトも帯同し、賑やかな現場でした。
おじいさん役、バイヤー役、バーテンダー役がそれぞれ揃い、機材チェックの間にテストを行ってみましたが、完璧な仕上がり。
入念な役作りを行い、現場に臨んでくれた為、一瞬でOKテイクを叩き出してくれました。タイトなスケジュールだったのでとても感謝しています。

Miyauchiは終始、演者さんの演技に圧倒されてテンションが上がってくれていました(笑)
バイヤー役の中澤さんとは1ロケ目でお別れ。1ロケ目が終わるころには演者さんチームもみんな仲良しでした。
Twist君素敵な写真をいつもありがとう。Photo by Twist.

白ホリスタジオへ
2ロケ目は白ホリスタジオへ。
Miyauchiのリップシーンを中心とした撮影を予定していました。
ストーリーシーンではFIX(三脚でのカット)を多く組み込んでいたので、映像に動きを出すために、ジンバル(スタビライザー)を使用して動きのある絵を組み込みました。結果的に良いチョイスになりました。
またジンバルワークに優れたカメラマンの上原一成をお呼びしました。
彼にはかれこれ2年くらいかな、僕がディレクションする現場では沢山カメラを回して貰っています。

リップシーンの撮影は決め込むシーンの他に、アーティストのパフォーマンスとカメラマンのフリースタイルのカットを余分に抑えるようにしています。
当日の臨場感は僕の予想を遥かに超えてくることがよくあります。あえて、自由にやってもらうカットを用意しています。もう5年くらい監督をしていますが、ようやくこのフリースタイルの大切さに気がつきました。
今回もそうでした。

動きのある絵に加えて、Miyauchiにはシュールな演出が似合うと思い、おじいさんがフィギュアを磨いているシーンと並行して等身大のMiyauchiもメイクアップ(磨かれている)シーンを撮影しましたがこれが最高でした。お気に入りのカットです。
そしてリップシーンをとって、転換してリップシーンをとって…
4-5転換ほど繰り返し、Miyauchiにもスタッフにも疲れが見えてきたところで白ホリスタジオシーンは終了しました。
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3ロケ目はMiyauchiシーンの撮影がなかったので、この時点でMiyauchiはオールアップとなりました。
オールアップに備えて、前述したMiyauchi - Swagのビデオが大ヒットしたことを記念してタペストリーをプレゼントしました。Miyauchiめちゃくちゃ喜んでくれました。

余談ですが、映像や写真などを取り扱う仕事をしていても、現像して、形として残すことって皆様少ないと思います。
僕も最近現像をして、改めて写真本来の意味に立ちかえることが出来た気がしています。
"同じ目線で、同じ環境で、達成した瞬間をこれからは形にも残そう"ってことでプレゼントしました。一緒に素晴らしい瞬間を共にできていること幸せです。
3ロケ目
ラストのロケーションへ移動しました。
朝から何も食べていなかったので、ケータリングを移動中にかき込んでいる間に着いてしまいました。
最後のロケーションではストーリーライン冒頭のシーンを撮影します。
順調に撮影が進むと気が抜けそうになる所を毎回気を取り直しています。緩んだ瞬間なんか偶発的な事故が起こることがよくあります。なぜでしょうか。
ここでは堀ノ内イイマンさんのシーンのみを行います。
フィギュアを拾ってきて、磨き上げるシーンです。
このスタジオでは外から照明なども打ち込めるため、照明のちゅうのさんが速攻たくさんの照明を外に出し、セッティングしてくれていました。

彼の体力にはいつも驚かされています。
僕は既に絶好のアングルとシーンの準備ができていたので、のんびりしていました。すみませんでした。
その間、堀ノ内さんと色々話していました。
驚いたのは役者になられてからまだ2年ほどだということ。
そしてSNSの使い方をお教えしました。(すぐにSNSを始められていました。凄い。)

そんな中、セットが組み上がり撮影がスタートしました。
照明がなんといっても素晴らしく、感動しました。
和室なので色を入れた照明はどう見えるんだろうと不思議でしたが、何故かマッチしていました。流石です。

そして2階へあがり、ラストシーンの撮影。
本作で僕が1番好きなアングルでした。ロケハンの時点で確信していたアングルに、2階にもかかわらず外から照明が打ち込まれ、素晴らしい演出になりました。

最高の締めくくりで無事全てのシーンを撮り終えることが出来ました。
とてつもないカット数を1日で終えること。最近周りではカット数めちゃくちゃ多いのに、時間通りになぜか終わると話題になっているそうです。
おわりに
Miyauchi - Diamondの制作はこんな感じで行われていました。
駆け出しのころから活動に携わっているMiyauchiのビデオをこんなにも盛りだくさんで制作ができたことが幸せでした!

日記みたいになってしまっていないか、心配です。Blogってそういうものか。
楽しんで読んでくださった方が少しでもいたら嬉しいです。アドバイスも有り難く頂戴しますので読みづらかったり、ここどんな感じだった?などございましたらメッセージを!
気がつけば3時間くらい経っていました。またエンジニアに怒られる前に書いてみようと思います。
僕の作品はInstagramなどを中心に掲載しているのでよかったら見てみてください!
Miyauchi プロフィール
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1999 年生まれ。神奈川・川崎区出身。
実家は花屋で、その2階でリリックを書く。川崎区の焼肉店に勤務していた経歴を持つ。片手で持てるジョッキは8個。
関東を中心に活動している。
2023年4月、8曲入り EP『Flowershop Freestyle』をリリース。
リード曲「What's wrong?」の MV を公開。
同年12月、立て続けに『The Mixtape』をドロップ。中国版TikTok「Douyin」(抖音)にて収録曲「Swag」のダンス動画がバズ。
TikTok にも飛び火し、中国、ベトナムからアジア圏全体を巻き込み“アジア圏から逆輸入でバイラル急上昇 国境超えてヒット”と、Spotify のバイラル・チャート・イン ! (SEVENTEEN、TOMORROW X TOGETHER、FANTASTICS from EXILE TRIBE、THE BOYZ、&TEAM、和田颯(Da-iCE)などもダンス動画を投稿)
2024年4月、その「Swag」のマイク・パフォーマンス動画を公開。さらに5月 話題の最中「Swag」のリミックスをドロップ。
6月には全7ヶ所の中国ツアーを敢行。9月には中国最大のHIPHOPフェス「AYO!」に出演を果たした。
2025年1月、最新Mixtape「The Mixtape 2」(全11曲入り)をリリース。